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所長の部屋

2017年12月 9日 土曜日

相続時精算課税制度は本当に節税になるのか?

最近、少し疑問に思うことがあります。
それは「相続時精算課税制度が節税になるか」ということです。

相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度で、この制度を選択すると2,500万円まで贈与税はかかりません。2,500万円を超えた分は、一律20パーセントの贈与税がかかります。
そして、贈与した方が亡くなったときに、これら生前に贈与した財産が相続財産として加算され相続税の対象となります。
このとき、支払った贈与税があれば、相続税より控除することができます。
簡単に述べると、生前贈与したすべての財産を相続財産として計算するという仕組みです。
これだけを読むと、同じ財産でも高い贈与税より安い相続税で課税される方が得なので、相続時精算課税制度は節税になると思ってしまいます。
しかし、ここで大きな問題があります。
それは一度この制度を選択すると、同じ人からの贈与では暦年課税を適用できなくなるということです。
暦年課税では、毎年110万円までの基礎控除があります。
毎年110万円までは無税で財産を贈与することができるということです。

そこで一つ考えてみてください。
相続税の基礎控除は3,000万円プラス600万円×法定相続人の数です。
相続人が一人だと3,600万円、二人だと4,200万円、三人だと4,800万円まで無税になります。
ところで、相続税の対策で最も重要なことはなんでしょうか。
それは、相続財産を減らすということです。
そうすると、生前贈与が非常に重要になることが分かります。
毎年コツコツ贈与して、相続財産を減らすことが、将来の相続税の節税につながります。
暦年贈与では毎年110万円まで無税で贈与できます。

これに対して相続時精算課税制度は一円も相続財産を減らすことはありません。
つまり、これは相続税の対策にはならないのです。

もちろん、将来、相続財産が基礎控除の範囲内に収まると分かる方には、早めに次世代に財産を渡せる意味で有意義なものとなります。
贈与税の節税になります。
でも、将来のことなんて分かるのでしょうか。
事業に成功したり、思いがけない財産を手に入れたりすることだってあります。
考えてしまいますね。

以上から私の結論は、
①将来の相続財産が基礎控除を超える方は、暦年課税制度で相続税の節税をすべき!
②将来の相続財産が基礎控除を超えない方で次世代に早めに財産を引き継ぎたい方は、相続時精算課税制度を利用して、贈与税を節約すべき!
③将来の相続財産が基礎控除を超えない方で次世代に早めに財産を引き継ぎたくない方は、何もしない!
です。

結局、相続時精算課税制度は、②のように若い世代の消費行動を狙った政府の景気対策であるのであって、国民の税負担を軽くする目的ではないことが分かります。
油断できないですねsweat01


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投稿者 司法書士塩﨑事務所

司法書士塩﨑事務所
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