司法書士塩�ｱ事務所は、登記、裁判、企業法務、財産管理を専門とする司法書士事務所です。

不動産登記　商業・法人登記

不動産登記

Ｑ．相続登記に期限はありますか？

Ａ．令和３年現在において相続登記に期限はありません。ただし、令和６年4月1日から相続登記が義務化になります。この場合、相続によって不動産取得したことを知った時から３年以内に相続登記をしないと１０万円以下の過料が課せられることになります。

Ｑ．配偶者居住権の登記とは何ですか？

Ａ．令和３年４月１日開始の制度です。配偶者居住権は、配偶者が相続財産として不動産の居住権だけを取得するもので、その権利を保全するために配偶者居住権設定の登記を行います。目ぼしい相続財産が不動産だけであり、配偶者が他の相続人に支払う（法定相続分相当の）お金がない場合に、これまでは相続した不動産を売却して支払う必要があったのですが、この制度により、多くの場合、相続した不動産を売却しないで住み続けることができるようになります。

Ｑ．遠方の不動産を購入しました。登記をお願いできますか？

Ａ．お引き受けできます。ただし、売主の本人確認をする必要がありますので、日当交通費（実費）が発生します。詳しくは費用一覧をご確認ください。

---

商業・法人登記

Ｑ．登記所に代表者の印鑑届出をする必要がありますか？

Ａ．令和３年２月１５日から、印鑑届出は任意になりました。つまり印鑑届出しないことも可能です。ただしこの場合、登記申請は電子署名を利用し、原則オンライン申請に限ることとなります。

Ｑ．取締役会をWEB上で開催することはできますか？

Ａ．開催可能と考えられます。また、完全にWEB上でも開催可能と考えられます。福岡地裁平成２３年８月９日判決より、「取締役会は、個人的な信頼に基づき選任された取締役が相互間の協議ないし意見交換を通じて意思決定を行う会議体であるから、遠隔地にいる取締役（以下「遠隔地取締役」という。）が電話会議方式によって取締役会に適法に出席したといえるためには、少なくとも、遠隔地取締役を含む各取締役の発言が即時に他の全ての取締役に伝わるような即時性と双方向性の確保された電話会議システムを用いることによって、遠隔地取締役を含む各取締役が一同に会するシステムを用いることによって、遠隔地取締役を含む各取締役が一同に会するのと同等に自由に協議ないし意見交換できる状態になっていることを要するものと同等に自由に協議ないし意見交換できる状態になっていることを要するものと解するのが相当である」。と判示されています。

Ｑ．株主総会をWEB上で開催することはできますか？

Ａ．一部の株主がWEB上で出席して開催することは可能です。平成１４年１２月１８日付け法務省民商第３０４４号法務省民事局商事課長回答で、「議事録には、「開催場所」及び「当該場所に存しない株主等の出席方法」を明記する（会社法施行規則第７３条第３項第１号等）。」とあるからです。
　しかし、完全WEB上では開催不可能です。株主総会は開催地を決めることが必要だからです。ただし、上場会社に限って特例で認められる予定です。令和３年の通常国会で特例法が制定される見込みです。

---

裁判

Ｑ．訴訟はどのように進むのですか？

Ａ．訴状が受理されると、被告への呼出がされ、約１箇月後に第１回口頭弁論期日が開かれます。ここで被告が原告の主張を争わないのであれば、通常、原告の勝訴で終わります。反対に、被告が原告の主張を争うのであれば、次回以降の口頭弁論期日、又は弁論準備手続（約1.5箇月程度の間隔で）を経て、争点が整理され、提出する証拠も確認されていきます。その後、証拠調べ期日で、本人尋問、証人尋問等が実施され、口頭弁論が終結し判決に至ります（概ね半年から１年程度かかります）。また、その間に和解や取り下げで終了することも多くあります。判決に不服があれば控訴ができます。控訴では、訴訟活動にもよりますが、第１審判決が覆ることも少なくありません。控訴判決に不服であれば上告ができますが、上告受理の要件はとても厳しく、不服があっても実際は控訴判決までで終結している場合が多いのが実情です。

Ｑ．裁判所から訴状が届きました。何をすればいいですか？

Ａ．先ずは内容をしっかり確認してください。原告の主張に反論があれば答弁書を提出します。反論には証拠の用意もします。また、原告の主張に反論がないのであれば、その対応についてケースバイケースとなります。内容も確認せずに放置することは厳禁です。放置すなわち敗訴となるからです。いずれの場合も専門家に相談すること強くお勧めします。

Ｑ．証拠はどれくらい必要ですか？

Ａ．できるだけ多く必要です。争いのある事実は証拠でその有無を判断します。通常、裁判官が８割以上の心証を得ればその事実は認定されるといわれています。ですが、どの時点で８割以上となるかは、相手が提出する証拠も含めて吟味するため、判断に迷うところです。裁判の途中で、裁判官の心証が予測できる場面もありますがそれを絶対視することもできません。ですので、できるだけ多くの証拠を用意することが肝要です。もちろん、証明すべき事実に関係する証拠です。よく検討されずに提出した証拠は、提出者にとって不利な認定に繋がることもありますので注意が必要です。

---

相続・遺言　成年後見

相続・遺言

Ｑ．遺言をする必要性、注意点は何でしょうか？

Ａ．通常、遺言においては、各相続人への相続財産の配分が決めらます。遺言がなければ、相続発生後に相続人同士が話し合って配分を決めるのですが、話し合いができないケースは多くあります。具体的には、主張がぶつかり合意できない場合、相続人同士の人間関係に問題があり合意できない場合、感情的になり合意できない場合、認知症等の意思能力に問題があり合意できない場合等です。これら合意できない場合においては、相続人にとっても相当な負担となります。であれば、予め、遺言者が適切な配分を示しておくことが必要であり有益であるといえます。もちろん、遺留分に配慮することも必要です。この配慮を忘れた結果、後日、相続人同士で紛争が勃発しているケースも多くあるからです。「きょうだいは他人の始まり」ということわざがあります。遺言をする際は是非この点にも十分注意してください。

Ｑ．私は1人で身寄りもいません、遺言をする必要はありますか？

Ａ．身寄り（配偶者、子ども、孫、親、きょうだい、甥姪）が全くいない場合は、遺言がなければ、通常、国が財産を取得しますが、家庭裁判所の手続きを経ることが必要で、多くの時間と費用を要します。放置される場合も少なくなく、結局、死後において他人に多くの負担をかけることとなります。もし、内縁の配偶者、いとこ、友人、知人、お世話になった人がいる、又は発展して欲しい自治体（ふるさと納税と同じ趣旨）や公益法人、慈善団体があって、それらの方々（法人）に財産を渡したいのであれば、遺言をすることが必要となってきます。なお、遺言とは別で、死後の葬儀、納骨、各種支払、不用品処分等が必要であれば、予め、死後事務委任契約を締結することも忘れないでください。

Ｑ．相続人同士で遺産分割の話し合いをしたくありません。どうすればいいでしょうか？

Ａ．遺産分割協議をできない理由が、現在紛争はないが相続人同士で話し合うことによって紛争が生じる可能性があるから、又は、書類の準備が多く手続きが面倒だから、ということであれば、司法書士が公平な第三者として間に入って遺産分割協議を取りまとめる業務がありますので（遺産承継業務）、その業務を行う司法書士にご依頼する方法があります。遺産分割協議できない理由が、現在相続人同士で紛争があるからということであれば、家庭裁判所へ遺産分割調停の申立をする方法があります。

成年後見

Ｑ．遠方で1人暮らしをする母が認知症となりました。どうすればいいでしょうか？

Ａ．成年後見の開始申立を強く薦めます。認知症により、本人の金銭管理に問題があれば、訪問者（悪意のある訪問介護ヘルパー等含む）が容易に現金を持ち去ることができます。また、親しげに接近する悪意のある人間が、認知機能の低下に乗じて、本人を囲い込み、公証役場を利用して遺言を作成させたり、架空の見守り契約を締結させるなどして、本人の財産を根こそぎ持ち去ることも容易にできてしまいます。成年後見の利用には一定の出費が伴いますが、前記のようなリスクを抑止することができることを考えれば、極めて費用対効果の高い、優れた制度であるといえます。

Ｑ．成年後見人に医療行為の同意権はありますか？

Ａ．成年後見人に手術や輸血、延命治療等の医療行為に対する同意権はありません。ただし、成年後見人が本人の親族であるときは同意できる場合があります。このような同意については、本来は本人しかできないはずなのですが、本人が意思表示できない場合、身近な親族であれば、これまで本人と生活を共にしてきて、本人のことをよく理解していることから、本人なら多分こう答えるであろうと推し測ることができるので、身近な親族に同意を求めることができます。身近な親族ではない成年後見人は、このような場合、本人の意思を推し測ることができないので同意することはできないのです。なお、入院及び退院手続きはもちろん成年後見人が行えますし、入院治療計画書や退院療養計画書における確認等についても、身上監護の側面からある一定程度までは成年後見人が行えると考えられています。

Ｑ．成年被後見人や被保佐人は遺言をすることができますか？

Ａ．成年被後見人や被保佐人でも遺言をすることはできます。遺言は15歳以上で意思能力があれば作成できるからです。ただし、後見開始や保佐開始の審判を受けているということは、事理弁識能力に問題があるのであり、遺言をするには十分な準備が必要です。成年被後見人が遺言をするには、能力を一時回復した時において医師２人以上の立会いがなければできません（民法973�@）し、被保佐人にはそのような規定はありませんが、それに準じた方法で行うことが必要かと考えます。本人の意思を尊重することは、後日の紛争を防止することによって果たせることを十分に意識してください。